しゃもじもしゃもしゃ

感想の掃きだめ。

【ネタバレ、大丈夫?】『天気の子』の感想

僕たちは大丈夫!な人たちだけ読んでください。

それ以外の人は、早く見て。

 

『天気の子』観てきました。

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最高の夏感を演出してから。

 

結論として言わせていただきますが、

 

これは「新海誠作品として、最高傑作」です。

 

そうじゃない人は、正直よく分かりません。

 

色んなことを考えたので、雑多に色んなことを書きます。

ちなみにシラフじゃないので、変なこと書くかもしれないけど、こういうのは衝動が大事です。


「100%の晴れ女」というフレーズで思い出すのは、村上春樹ノルウェイの森」のキャッチコピー、「100パーセントの恋愛小説」です。

江國香織本歌取りしたほどの名キャッチコピーですが、セカイ系や、冒頭の「キャッチャー・イン・ザ・ライ」(邦訳が村上春樹)など、村上春樹っぽさが多分にある映画だった気がします。


新海誠村上春樹好きなのは自明なのでそれは置いておいて、僕がこの映画で評価したいのは、3.11震災後に転換を迎えたセカイ系という枠組みで、しかも「君の名は。」という誰にでも分かるハッピーエンドストーリーを爆発的にヒットさせた後に、この作品を作った、という点です。

 

3.11とセカイ系の関わりを簡単に、しかも自分なりにまとめると、フィクションの向こう側だった「世界の崩壊」がものすごく現実味を帯びてきて、僕らはフィクションに「救い」を求めるようになりました。

だって、現実が辛いのに、フィクションまで辛かったら、悲しいじゃないですか。

 

君の名は。』はその「救済」を全てに対して行った、これはアンサーな気がします。

だからこそ、セカイも、皆も、とにかく全体を救うエンドが、そこにはありました。

それはそれで良かったです。


だけど『天気の子』はそうじゃありません。

確実にセカイは崩壊に向かっていく、しかも主人公とヒロインの手によって。

それでも彼/彼女は「二人でいること」だけを選んだんです。

この辺り『沙耶の唄』っぽさもありますよね。

 

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よく言えば純愛、裏返せばセカイ中を不幸にしたストーリーと言えます。

この極地までセカイ系を突き詰めた点(普通は「あり得ない」「馬鹿げてる」からここまでには至れない)において、僕はこの作品を評価したいです。

 

僕が特に泣いちゃったのは、三年後に、帆高と陽菜が再開するシーンです。

もちろんRADWIMPSの曲とかいうチートもあったんですが、あそこで、あの場所で、陽菜は毎日、自分達が壊してしまったセカイが晴れることを、三年間、祈ってたんですよ。

それを見て、帆高は吹っ切れるわけですよ。

周りの大人が「元に戻っただけだ」「世界は元から狂ってる」「気にすんな」とか言ってたのを全部否定して、自分達がセカイを変えたことを、自覚していったんです。

だから、ずっと何を言おうか考えてた帆高は、最後に「僕たちは大丈夫」って、ようやく言えたんですよ。

いやエモいでしょ????こんなん????

 

ストーリーだけ追ったら馬鹿げてますよ、そんなこと15、6歳が、出来るわけないんですから。

でもそれを圧倒的に捩じ伏せる勢いが、この映画にはありました。

なんで僕たちがセカイに迎合しなきゃいけないんだ、それがどうした、そんな勢いです。

 

そんな馬鹿げた勢いのある映画、久しぶりでした。

とても、よかった


また、今回は「大人」が「子供」を馬鹿にしている構図が頻出していて、それはまさしくこの映画を批判する大人を描くことにも成功していて、ある種卑怯な手ですが、新海誠が自覚的にこの作品を紡いだことが如実に分かりました。


最後に、あえていいますが、描かれていないものを想像するのって、楽しくないですか。

それが分かってもらえる映画だと、信じています。

 

 

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あれ、、、2回目、、、???

 

セカイ系・・・簡単に言えば、「僕(主人公)」と「彼女(ヒロイン)」の関係性が、そのまま世界の終わり・破滅・繁栄・再生に繋がる物語のこと。